ゆきちゃんの世界
  * * * 阪神淡路大震災ボランティア * * *
地震報告 第13弾

地震報告第13弾   1996.3.4.

       ご報告            YUKI.I

 1月18日のふれあいコンサートは、多入り満員でした。 篠原会館中ホールはいっぱいでボランティアもいれると70人こえたでしょうか。 ″感じる会会員″は遠くからも沢山かけつけてきてくださいました。 久しぶりの顔あわせもあり、とてもうれしかったです。
 
 近所の篠原公園仮設からも大西会長さんをはじめ10数人の方々がおこし下さいました。
 
 吉新さんのの司会で、黙悼からはじまり、YUKIが「原点」の詩の朗読、ピアノ曲はベートーベンの悲愴・月光、モーツアルトのファンタジーでした。 次に熟年ミュージカル「アサミュージカル」の下平朝子さんも来て下さり、作詞の谷口さんご夫婦もいっしょに″みんな根っから神戸っ子″″神戸、わが夢の街″″ふるさと″などを合唱しました。 後半はトロイメライとモーツアルトのトルコマーチつきソナタを弾きました。 
 
 ボランティアの皆さんは家でカレーのしこみをし、当日は早くから調理室で活躍してくださいました。 大なべいっぱいのカレーはとてもおいしかった。 又おおぜいの人といろいろおしゃべりしながら食べるのも楽しかった。

 そして、午後は話し合いにはいりました。どんな様子か、その一部だけですがご紹介したいと思います。導入のピアノ?は、ショパンの遺作のノクターン2曲・・・

yuki ) ・・・皆様、忌憚なく震災以来この一年で気づかれたことをお話いただきたいと思います。

橋本)・・・半懐のマンションの修復が終わって、ようやく年明けから家族一緒に住めました。離れていたから家族というものを見なおせて、やはりいいもんだなと思っています。
 以前とかわったことは、子供をおこらなくなったことですね。子供は前と同じことをしてるはずなんだけど、その気になる面が、実は裏返してみたらかえって良い面になるかもしれないなと思って許せるようになったということですね。で、今は怒らない状況にありますね。まだハネムーンの状態だからかもしれませんがね。ワハハハ

yuki ) 離れてはじめて気づけたというのもありますか? 

橋)・・・・・たえず一緒にいるということは、かえって危機感があるかもしれませんね。
 たとえば、離婚を内在している夫婦が多いのですが、友達にそういうのがいて、転勤になったんで、半年でもタイムラグをおいてみるといいよと忠告したのです。 空白もむだではないと思うんですね。 でも天災や事故で突然余儀なくというのはやはり納得できないものでしょうね。

谷口 ) でも、愛情ある夫婦なら離れていてもよいかもしれませんが、冷たくなった夫婦は別に暮らすとよけいに醒めていけないんじゃないかと思うんですが。 

F ) 私もこれまでずっと主人と一緒だったんですが、地震で主人は施設で私は家の整理やなんやでやむなく離れて住むようになってしばらくは飛んででも帰りたいと思っていたんです。 ところが、土地の件や義理の子供たちとのことで問題が山と起きてきまして、もう「主人なんか死んでしもうたらいいのに」と思ってしまいました。・・・・・・ そして、12月には離婚の書類を持って主人に判こを押してと出しました。・・・

 でも先日の yuki さんの集まりで、それまでは決して人様にとてもようしゃべらないことまでもどんどんと話してしまいました。 ・・・・で、いわれるようにお月さんをおがんで主人のことを思ったりしてましたら、つい16日の夜、一年目ですから一晩中おきてて、朝方トイレにいってからフトンに入った時、なんと隣にスッと男の人がフトンにはいったんです。 トイレにいったとき鍵がかかってるのをちゃんとみてたし「え〜、だれかいな」とフッとみると主人みたいにみえるんですよ。「え、おとうさん、帰ってるわ、なんでやろ」と思って、特養やし何かあったら電話があるやろと思って電話をみたけどなんともない。で、横をさぐってみると空しいんですわ。 え〜、私ぼけたんやろか、と思ったりそんなことがありました。・・・

 そんなんで、いろいろ問題山づみのままですけど、一つずつ片付けていかんとあかんなとと思ってます。 で、人の気持ちは、もともときれいな川でも、泥やら土やらいろいろ入ってしまったのを一つずつ整理していってかたづけていったら、又きれいな川になっていくんじゃないかと思ってます。 で今日もいろいろ聞かしてもらわんならんと思ってきたんです。

yuki ) Fさんは王子仮設の副会長さんで、いつもいろいろお世話になっています。 でもそうして隣にこられて、もうご主人のこと許してはるんでしょうね。

F ) そうです。 ですから、離れて暮らすのはあまりようないなと思います。 でも不思議ですね。 いわんとこと思って、足をひねりよるけど、いろいろと話してしまうんですね。でも言ってしまうととっても気持ちがらくになります。

yuki ) そんなふうに出せるようになったらどんどん楽になってくるんです。 話しているうちに自分の中で整理整頓されてきますしね。 たまっているおりも消えていって、明るく楽になってくるんですね。 

F ) 本当に不思議ですね〜?

yuki ) ボランティアの坂本さんは、いつも熱心に手伝ってくださいます。年末にはしめ飾りを作って下さいました。・・・坂本さんところも全壊でしたね。

坂本 ) ええ、うちは家がうしろへこけて、後ろの家にもたれたんで、それで助かったんですね。前にこけてたら死んでました。で、それで助かった命ですから、みなさんのお役にたちたいと思って、ボランティアにこさしてもらってます。

 家内が一番いうことには、僕は大変怒りっぽかったんですわ。 何か言うたら、もう腹パーツと腹がたって、腹がたってしょうなかったんですわ。 それが、地震の後、一ぺんに止んだと家内がいうんですわ。 こうして命をいただいたんで、こりゃ家内も大事にしてやらんとあかんなと思いましたね。 で、去年の4月から定年になって家におるんですわ。 家内がパートから帰ってくる時分には食事をこしらえて、今主夫やってます。エー!エライ

 こんだけ自分の短気がなくなったんで自分でも不思議でしょうないですわ。 外ではにっこりしとんやけど家に帰ると、家内がものを言うたらパーッと腹がたってたんですわ。 それは田舎の母親も言うてましたわ。 なんで外ではそないにいいのに家へ帰って腹たてるんやといつも言うてました。

小林 ) え〜!、そんなにすっかり変われるんですか。

yuki)そうね。外よし内悪しの癖があったのね。 でも今は家でも0Kになったんですね。 地震で生命の原点にふれて、意識の枠がとっぱらわれたんですね。 気質の癖のよなげは死ぬ気でやれといいますからね。

坂本 ) ほんとに不思議ですね。 今までがねバカバカしいくらいですね。ホ〜!!
ま、外ではいいんで損はしてないですけどね。ハハハハ
ここで、小林さんがお姉さんのことを話す。 坂本さんが、すっかり変わられたのが不思議でならない様子・・・

坂本 ) なぐったり、そんなことはしないんですが、口がきついんですわ。家内に「車にはねられて死んでしまえ」と平気で言ったり、長年使ってた茶碗を割った時には、半月くらい毎日、会社から帰ったら責めてましたからね。エー! ソンナ〜・・
何やら縁起わるうて「食わせんのか」言うたりして毎日責めてましたね。エー!

yuki)でも、奥さまもよく耐えておられましたね。 今は夫婦なかよくルンルンですか。

阪 ) そうです。今まで家内のコーヒーの残したのなんか全然飲めなかったけど、今は平気で
飲んでます。 
小林さんのお話し

坂本 ) 僕も腹たったら食べてましたね。

yuki )  では、太ってらした?

阪 ) いや、今の方が7Kも太りましたわハハハハ

yuki ) おだやかになって、太られたんですね。 昔は怒るのにエネルギー使ってたのね。  

阪 ) 家内も10K太りましたわ。

yuki ) 奥様は、うれしくて安心なさっから、太られたのかしらね。

阪 ) ほんまに、どないしてこうなったんか。 自分でもこわいぐらい!ハハハハ

声 )  も一度揺れたら・・・

阪 ) こんど揺れたら又もとどおりになるかもしれん。ハハハハハ

声 ) ゆりもどしやね。ワハハハハハ

谷口 )う ちの伯父の家のふすまが破れたままになってましてね、どうして、元どおりになおさないのかと聞きましたら「あれは、昔の自分やから、とってある」と言うんです。 私は仏になった伯父しかみたことがないんですが、腹のたった時、ふすまを見て、一、二、三、四でしょうか数えて、しばらく心をおちつけるそうなんですね。 一時すごく修行もしたようですね。・・・ 

yuki ) 今でも腹がたって、つらい方いらっしゃいますか。

谷口 ) 私の友人で肝臓の悪い方が、何みても腹がたつんだそうです。 それで、腹がたったら、一時間でも話を聞いてあげるんです。するとホッとして、もとどおりの彼女に戻られるんです。ただ聞くだけなんですけどね。

yuki ) それが、大変お役にたっているんですね。 いかがですか、腹のたつ時の解消法をお持ちの方。 どうですか、田口さん、この間腹がたちすぎて、言葉を失っておられましたが?
 
田口 ) ええ、私もどっちかというと、人の何倍も怒りっぽいんです。 で、まだ自分の中で処理できていないんです。 が、心がけていることは「待つ」です。 「腹たつけど、とりあえず、ちょっと待ってみよう」 何時間かしたら忘れる時もあります。 何日たっても覚えててムカムカしている時もありますけど。 どうしたらよいか分からない時は、とりあえず「待つ」です。

谷口 ) 忍耐強いんですね。

田口 ) いいえ、忍耐強くないから、心がけているんですね。

yuki ) 「待つ」これもひとつの手ですね。 すぐ出し、すぐ動くというのは、癖が出やすいんですね。 「ちょいと待つ」それから動く、これが気質の癖に左右されず本心で動けるようになることの第一歩でしょうね。

 私なんか、陽性だから、子供相手だとつい言い放ってから「あっ、ごめんね」なんて失敗してます。 で、言いそうになった時、ぐっと待つんですね。
 すると子供のほうからホッコリと話しだしてくれて「ああ、言わんでよかった」と胸をなでおろすことがまだまだありますね。 すぐワーっ言っちゃうとケンカになりますから。

谷口 ) お風呂も最高にいい気分ですね。 寝るのもいいと思いますね。 それでもだめな時は書くんです。 いろんな人間関係でもポストに入れないけど、書くことで自分の気持ちを客観的に見ることができますね。・・・・
 昔しゅうとめに腹のたつことがいろいろあった時、川柳を一日で30首作ったこともありました。「老婆、けろりとウソをつき」とかワハハハハ   そして、いっぱい作ってそれを破ることで精算しています。 たとえば同じ一日笑って過ごすのと、怒っているのとどちらが得か損かなどと考えたりもします。・・・

yuki ) いかがですか。 ご主人の方は弁護士をなさっていますが、地震からのことで何かございますか。

谷口、夫)仕事の方は、借地や建て直しの件がほとんどですので、心の問題まではなかな立ち入ることはありません。 しかし、心の問題は大きいでしょうね。 地震によって、今まで大事だと思っていた物質的なものとか、既成の価値、お金とか、家とか、社会的地位とか。 昔から偉い人が、そんなもの価値がないと言ってるにもかかわらず、ついそういうものを持ってる人が偉いとか、なりたいと思ってあくせくしている。

 あの地震の直後は、本当に皆、平等になって、おにぎり一つを文句をいわずに分けあって食べてたんです。 それが、今になって又もとに戻っている。 昔どおりの不平等、私はあの人よりましな境遇にいるとか・・・進歩より、退歩しているんじゃないかと思うんです。
 せっかく、地震が教えてくれた教訓というものをもう一度ゆっくりと考えなおしてみないといけないんじゃないかと思いますね。 

・・・もう70才が目の前になりますと、死にそこなったことはいくらでもあります。たまたま助かって、助けていただいてここまで生きてこれたのが有り難いと思うと、たとえ、誰かがわがままを言っておっても、いいたい放題言える、幸せな環境におれることを祝福するというか、わがままをいわせてあげたいって、心の余裕がもてますね。・・・私は助かったんだから、できるだけ余った時間を人を助けることに使いたい、皆に喜んでもらえるボランティアなんかに使いたいと思うんです。 

そんな殊勝な気持ちになる時は自分が一番幸せだと思う時ですね。・・・たとえて言えば人類はオリンピックの本番での水泳の予選のところまで来ていると思うんです。
せっかく選ばれて来ているのに、プールの中で、隣の人とケンカして、せっかく優勝できるところを失格やといわれて退場させられてしまう。・・・

 せっかくの人生ですから、楽しんで、人とも和合して、皆でよりよい環境を、地球を、宇宙を世界を作っていきたいと思うんです。・・・・そう考えるともう怒ることなんてことはできないんじゃないかと思いますね。 しかし、怒りますよ。でもその時にやはり自分はまちがっていんだなと思うんです。

 私が腹がたつのは、自分が責められる時とか、自分の自尊心とか、権利というものが他から不当に傷つけられた時ですね。・・・・・しかし、そんな時私は「二二三、三二三、カミサマ」とくりかえして、腹だちをおさえます。 すると本当におさまってしまいます。

というふうに、あと茨木市の佐藤真生さんはカナダや北海道で熊と遭遇した話。
熊と出あった時の死んだふりは本当に死ぬ思いだったそうです。 皆さん決してまねはしないように。 

 河内からおこしの土持さんは、カタカムナの話や指笛で″月の砂漠″など披露してくださいました。 

 吹田からおこしの花房さんも長田区ですっかり焼け出された話など、元気村の若い二人もいろいろと現在の心境を吐露してくださいました。

 その他、京都からの建築家の奥村さんも今回のビデオをとってくださいましたし、ボランティアをしてこられた感想をのべてくださいました。

 又、何より小林さんの娘さんが、お八つにおいしいレモンケーキを沢山沢山作ってくださいました。 お店屋さんのよりおいしいと大好評でした。 そして、全員がいろいろと心のうちを話してくださいました。
いやあ、話あうって、出会いですね〜、きづきですね〜、 楽しいものですね


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