ゆきちゃんの世界
  * * * 阪神淡路大震災ボランティア * * *
提言(5)

提言(5)  1995.4. YUKI.I

前号では、この震災の意味を問い、復興の理念、及び意識と価値観の転換の必要のあることを述べました。 今、神戸の復興が、21世紀に向けて新しい意識でなされることを多くのもの(人・あらゆる生物・地球・宇宙)は願っています。
 人間本来の人と人のふれあえる神戸。 自然への畏敬の念を持って、自然と共生できる、21世紀に先だって世界の模範となれるような神戸。 そのような″新生神戸″となれるか否か、世界は今神戸に注目しています。 そして又神戸に住み地震に出会ったものは、自らのありようを問いなおす責務があると思われま。 それには、地震で物質的なものの枠組みが崩壊したように、私たちの意識の枠も今一度壊してくつがえして原点に戻って、新たに組みたてなおしていく必要性があると私は思うのです。

復興計画案は市民と十分な話し合いを・・・

●復興10年計画をたった5カ月で?!
 
 今、阪神淡路大震災の復興本部は、来年度の国家予算獲得のために急いで、10年にわたる復興計画を打ち出そうとしています。 

 しかし、まだ地震後の事務的な調整も避難所の方々の問題も解決できていない混乱の中で、あわてて復興計画を出そうとしていること事体に大変無理がある状況です。  

 
 それもたった3回の復興計画審議会(次回は6月28日)で決定しようとしています。

 その内容も多くの市民やボランティア、各界で地震に関して様々な声をだしている方々の声をよく聞き解答するなかで作りだしてゆこうとする姿勢では全くありません。
 

 そこには、いかに役所側の考えを「聞かそう」という、或は
「一応皆の意見を聞いたというポーズにしておこう」という住民軽視の様子がありありと見てとれるのです。 


●復興計画は住民の気持ちとともに
 
 市の姿勢には、残念ながら本気で市民側の真剣な思いや願いを理解し検討してみようという謙虚さはみられません。 

 子供みたいに自分のいうことだけを聞いてもらおうということだけに心をくだいているかのようにみえます。
 
 そして、役所側の計画の中に皆の言葉を用いて表面だけを粉飾しようかという様子にさえ見えるのです。 つまり計画案は仏つくって魂いれずになっていると思うのです。 
 
 それは、そもそも作る時に地域の住民が一緒に参加できていないことが、できたものに現れていると思うのです。 市民不在の計画って一体何なのでしょうか。 

 行政は市民を自分の持ち駒ぐらいにしか考えていないのでしょうか。


●これまでの反省があってこそ
 
 復興計画案がたとえ先にむけて言葉だけ耳ざわりのよいものになっていても、
そこに何故ここまでの大きな災害へとつながったかという厳しい反省の色がないなら、全く絵にかいた餅にしかすぎません。
 
  実際に現場の体験のない、心から反省の気持ちのないものが、言葉だけで操った頭でっかちの計画のように私には思えます。 
 
 それに実際に今、復興の過程でなされている状況は一体なんなのでしょうか。
 
 神戸市のかかげた理念などまるで実践されていないようにみうけられます。 
 本当に市民の立ち場にたった″働き″がされているでしょうか。      
                   
●役所は抽選でなく裏工作をしている
 
 仮設入居者の人選も弱者、高齢者を優先だといって、抽選でなく、役所の方々で検討しているようですが、そこには、みえみえの作為が感じられるのです。

 例えば、都市計画の地域、復興計画の指定地域となり、火災で多くを焼失した六甲道駅近辺の避難所では、たくさんのおかしいという声があがっています。 

 何故、年寄りにあたらずに土地持ち、家持ちばかりにあたっているのか、行政が自分のしよいように勝手なことをしているという怒りの声をいくつかききました。
 
 又、今避難所では、60才台の人たちがどんどん先に仮設にあたっています。
 
 そして70才台の人が沢山のこっています。又、生活保護や障害者の方々は地域型の共同住宅に集められています。 

 これでは、さまざまな人たちの助け会う自然なありさまでなく、故意の住みわけがなされていくようで、残念に思われます。

●大手ゼネコンの独占と横暴をやめさせて

<大手ゼネコンの価格は3割り増し>

 被災者は、明日の希望がもてないままに避難所や仮設住宅で不安な毎日を過ごしています。
 
 又、せっかくローンで買ったマンションが修理にしても何百万単位、たてかえは何千万円とこれまでのローンに加え、あらたに二重ローンの負債をおうことになるという、将来への不安は覆うべくもありません。 それは、一戸建ての方々も同様です。

 しかし、この機会とばかりに、大手建設会社ゼネコンは、まさに独占企業のごとく下受けにどんどん仕事をやらせています。 
 
  うちでするのでなく、他の業者と比べるのなら査定しませんと、大変に強気です。
できるだけ安くあげたい庶民もその横暴の前には他に頼るすべもありません。 

一時のバブル時の大手商社と同様です。 対象はアジアの国々でなく、困っている被災者です。

  
 火事場泥棒とも震災太りともとられましょう。なんとかならないものでしょうか。

 ゼネコンが下請け、孫請けへとまわし手数料をしっかりとるものですから、建築費用がどんどんけずられて、震災でゼネコンの建てた公舎も沢山倒れたことは多くの知るところです。

 がれきの撤去にしても神戸市は他の市より2倍近く高かったです。 何故でしょうか。

 それらは、全て税金でまかなわれているのです。 

 それが、第2次には、2千円ほど安く設定されました。 するとそれまでの値段は高かったということでしょう。 するとそれまでの何万件もの差額をもどしていただきたいと思いますね。 
 
 少しずつのことでも、きちんとしてゆかねば、被災者に限らず、庶民はタクシー代ひとつでも、冷房の電気代も気にかけながら暮らしているのですから。 そのバックだけでも億の金になると思われます。    


せめて神戸空港の計画は保留にして下さい!

「震災のおかげで神戸は生まれ変わった」 
                    と、 よい意味で喜び合いたいものです


●災害緊急用ヘリポートは本土側に
 
 兵庫県は社会経済基盤の復興指針として、空港整備を重点施策として位置づけている。 

 しかし、災害時の空輸の問題についてだけなら、これまでの六甲アイランドやポートアイランドで十分に可能だと思う。 

 そして、今回の地震で、これらの人工島が孤立したことをよく考えてみなければならないと思われます。 

 ですから、緊急用のヘリポートなどは、本土側に作った方がよいことは今回のことからも十分に検討されるべきでしょう。

●災害復興を先に 神戸新空港は後で・・・
 
 いわゆる、これを機会に神戸空港の計画を強引に国の補助や援助金を使って押し進めようとするなら、ゆゆしき事態だと思う。 

 なぜなら、それは、多くの生活が困窮してきている被災者たち、これからの生活のメドがたっていない人たちをを忘れている態度にほかならない。と、わたしには思われる。

 もちろん、人だけでなく、自然もものも、全てが、震災から学んだことをふまえて、二度とおこらぬように対応してゆくのに、まだまだ全精力をついやしていただきたいものと思われます。 

常時飛行機を利用する、そういう状況を考えるのは,もっともっと、この震災の後遺症を解決して、多くの人々が

   「震災のおかげで神戸は生まれ変わった」
 
そんなふうにいえるようになってから、 空港のことはもちだしてください。

今でも、堺の関西国際空港に、海を横切って、40分くらいあれば、いけるのではないですか?

●二重ローンをかかえた人に・・・

 みえる建物だけでなく、もっと、みえにくい、被災者の生活に、目を耳を心をむけてほしいと思われます。

 今回の地震は、1人1人に、全ての家庭に、大きな負担をおわせました。
ひとり、ほくそえんでいるのは、ゼネコンだけではないでしょうか。

市民は、困っています。 とくに、二重のロ−ンを心ならずもかかえざるをえない状況になるような方は、本当に頭をかかえていらっしゃる状況です。

その他にも、どうにも、困ったという方々も多くいらっしゃるでしょう。

市は、その1人1人に取り組むかたちで、多くの義捐金を使っていかれたら、よいのにと、思われます。

                 ●福祉 教育 経済に関してもしかり・・・・・・

<後記> 

  時間のないままに つらつらと ならべただけとなりました。
 
 巷で、発ガン物質といわれるほこりの中をかけずりまわっている、一主婦のボランティア が、いろいろ見、聞きし、感じて、思ったことごとです。

 どうぞ、まとまっていませんが、今後の、神戸市のよりよい気付きと発展のために役立てていただけましたらうれしく存じます。

                         灘ボランティアJBC  YUKI.I


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